はじめに
「不定詞」は割とややこしい分野です。だからこそ「わかりやすい解説」に徹底的にこだわりました!
大学受験・英検・TOEICの文法問題を解くのに必要な不定詞の知識が最短で身に付くよう工夫しました。そして市販の参考書よりもさらに、わかりやすい解説を目指しました。
そのために、42冊の英文法の参考書を比較研究しました。もちろんオリジナルの「もっとわかりやすくする工夫」も満載です!塾講師や家庭教師の経験も活かしています。
ゼロから解説しているので、初学者の方や英語が苦手な方でも安心して学ぶことができます。
不定詞の3つの用法に加え、be to不定詞(助動詞のかわりをする不定詞)などの応用的な知識もお伝えします。
基礎~標準の文法問題はこの記事を読むだけで解けるようになります。もちろんリーディングや英会話でも不定詞をしっかりと使いこなすことができるようになるでしょう。
なので、是非この記事を参考にしてみて下さい。
不定詞とは
不定詞の基本的な形はto+動詞の原形です(例:to get)。ここまでは多くの方が知っている知識だと思います。
参考不定詞のことを英語でinfinitive(インフィニティブ)という!不定詞の本質は「未来志向」のイメージ
では、「不定詞の本質はなにか?」-答えは未来志向です。不定詞にはtoという前置詞がついていますよね?
toは「~へ/~へ向かって」という意味です。ですから不定詞も「~へ向かって」という未来志向の意味を持っているのです。
つまり、不定詞は「~へ向かって」や「これからすること」を表します。これが不定詞のとても大切なポイントです。
例えば、次のような例文を考えてみます。
【語彙】submit(提出する)
remember to doは「(未来に)~するのを忘れない」という意味になります。一方、同じrememberでも、目的語に動名詞(~ing)をとると全く違う意味になります。
例えば、 I remember submitting the documents.は「(過去に)書類を提出したのを覚えている」という意味です。
不定詞が”方向/未来”を表すことに着目すると、「試験に合格する方向に向かって勉強をがんばった」や「(将来の)試験に合格するためにがんばった」という意味になっていることがわかります。
このように不定詞は基本的に「方向/未来」を表します。これが不定詞の本質です。
不定詞の3つの用法
不定詞には3つの用法があります。
- 名詞的用法
- 形容詞的用法
- 副詞的用法
「~的用法」と聞くと難しく思えるかもしれません。しかし実際は簡単です。不定詞が、「名詞・形容詞・副詞の役割をする」というだけの話です。
以下では、この3つの用法を順番に解説していきます。
なお、この3つの使い方を理解すれば、「不定詞の基礎」は完璧になります。
①不定詞の名詞的用法
不定詞の名詞的用法ではto 不定詞が「名詞」の役割を果たし、文中で、主語(S)・目的語(O)・補語(C)になることができます。
また名詞的用法の場合、原則として「~すること」と訳します(例外もあります)。
ちなみに「名詞はS・O・Cになれる」という解説がよくわからない場合は基本5文型の知識が不足していますので「英語の基本5文型が17の図解でわかる!見分け方も解説」を参照してみて下さい。5文型は英語の土台になる部分なので必ず習得しておく必要があります。
To see(見ること)が主語(S)で、to believe(信じること)が補語(C)です。つまり、直訳は「見ることは信じることだ」です。転じて、「百聞は一見に如かず」となります。
to ask(質問すること)がforgot(forgetの過去形)の目的語(O)になっています。
形式目的語のit
不定詞の名詞的用法が目的語になるときは、(例文)のように、仮の目的語(形式目的語のit)を前に置いて、本当の目的語となる不定詞句を文尾に置くパターンも多いです。
補足不定詞句とは不定詞に目的語や修飾語がついたもの!形式主語のit
不定詞の名詞的用法が主語になるときは、To see is to believe.のような形は珍しく、基本的には下記の例文のように形式主語のitを前にだして、文尾に不定詞句を置きます。
形式主語のitとは仮の主語のことです。本当の主語の代わりをします。で、本当の主語はどれかというと、文尾の不定詞句である”to make friends”(友達を作ること)です。
この関係を図示すると以下のようになります。
【語彙】solve(解決する)
(例文2)も形式主語のitを前にだして、本当の主語である不定詞句を文尾に置いた形です。”to solve this problem”(この問題を解決すること)が本当の主語です。
このように、ほとんどのケースでは、主語は文尾に置き、かわりに形式主語のitを前に置きます。つまり「To see is to believe.」のように名詞的用法が主語として文頭にくるのは一部の限られた場合だけなのです。
②不定詞の形容詞的用法
不定詞の形容詞的用法は名詞+to doの形で表します。主な意味は次の3種類です。
- 「~する(~した)(名詞)」
- 「~するための(名詞)」
- 「~すべき(名詞)」
そして、名詞+to doの形では、to doが名詞を修飾するわけなのですが、ここで、名詞とto doの関係がとても重要になってきます。この関係がわからないと文の意味も正しくつかめないわけです。
でも、この説明だけでは「関係ってどういうこと!?」ってなりますよね。具体的な例文を使って解説していきたいと思います。
なお、ここでいう「関係」には3つの種類があります。
パターン①主語+動詞の関係
パターン①は名詞+to doの「名詞」が主語(S)になり、to doが動詞(V)になる関係です。
to leave(去った)が直前の名詞The last guest(最後の客)を修飾し「最後に去った客」という意味を表しています。ここで重要になってくるのがThe last guestとto leaveの「関係」です。
結論から言うと、The last guestが<S>で、to leaveが<V>という関係になっています。どういうことかというと、The last guest left.(最後の客が去った)という主語/述語関係です。
つまり、The last guest to leaveの部分が<S+V>の関係になっているのです。
ポイント「The last guest to leave」→「The last guest left」この例文も不定詞の形容詞的用法です。to help meがa lot of friendsを修飾し、「自分を助けてくれる友達」という意味になっています。
そして、これも(例文1)と同じで、名詞が<S>、to doが<V>になっています。
つまり、A lot of friends help me.(たくさんの友人が自分を助けてくれる)という関係です。
ポイント「friends to help me」→「friends help me」 発展(例文2)はI have a lot of friends who help me.と書き換えることができます。もしこうした関係代名詞の知識があやしい場合は「【図解】関係代名詞の使い方|苦手でも20分で理解できる!」を参考にしてみて下さい。パターン②目的語+動詞の関係
パターン②は名詞+to doにおいて、「名詞」がto doの目的語(O)になる関係です。例えば、something to eatは「何か食べるもの」という意味です。この場合、eat something(何かを食べる)の関係になっています。
ポイント「something to eat」→「eat something」a bookを不定詞句のto read on the trainが修飾して「電車の中で読む本」という意味になっています。ポイントはa bookがread~の目的語になっていることです。
つまり、「I read a book on the train.」の関係になっています。
ポイント「a book to read」→「read a book」(例文2)では、somethingをto write withが後ろから修飾して「何か書くもの」という意味になっています。somethingがwrite with~の目的語になっています。
つまり、「write with something」の関係です。
ポイント「something to write with」→「write with something」 補足(例文2)のように、形容詞的用法では、前置詞で終わるパターンに要注意です。例えば、「住むための家」は「a house to live in」です。これを「(×)a house to live」としてはいけません。なぜなら”「live in a house」の関係だからです。パターン③同格の関係
「同格」とは名詞 = to doになる関係のことです。これは「=」になるだけなので簡単です。例文を確認してみましょう。
the best way = to learn Englishという同格の関係です。
③不定詞の副詞的用法
不定詞の副詞的用法は「~するために」という意味になることが多いです。つまり《目的》を表すことが副詞的用法の基本です。
to meet herが不定詞の副詞的用法です。to meet herで「彼女に会うために」という《目的》を表しています。
《目的》の意味を強調したいときは、in order to do(~するために)やso as to do(~するために)を使います。in order to doとso as to doはどちらも「~するために」で、ほぼ同じ意味です。
なお、不定詞の副詞的用法を細かく分類すると「~するために」の《目的用法》以外にも、さらに4つの用法があります。もっと詳しく副詞的用法を学びたい方は「不定詞の副詞的用法とは?意味・使い方《総まとめ》」をご覧ください。練習問題付きで、副詞的用法の詳細をみっちり学習することができます。
不定詞の応用
不定詞の否定
不定詞を否定するときはnot to doやnever to doと表します。つまり、to 不定詞の直前にnotやneverを置けばよいのです。
意味上の主語
不定詞の意味上の主語はforやofで表します。「意味上の主語」とは、文法的には主語ではないけれども、意味の上では「~が」という意味になっているということです。
例えば「for you to read」で「あなたが読む」です。つまり「for you to read = You read」ということになります。
不定詞は名詞・形容詞・副詞の役割をしますが、よくよく考えると「元々は動詞」です。動詞の出身なので主語や目的語をとるわけです。
”I have nothing”までは簡単ですね。「私は何も持っていない」です。どんなモノを持っていないのか?-「あなたが読むようなもの」です。つまり「for you to read」が「nothing」を修飾しています。
また、kind(親切)など<人>を主語にとるような形容詞のときには、forではなくofを用いて意味上の主語を表します。
「of you to help me」で「あなたが私を助けた」という意味です。
以下に文法問題でよく出題される「人の性質を表す形容詞」を記載します。これらの形容詞がくるときはofを使います。
- kind(親切な)
- careless(不注意な)
- nice(親切な)
- good(親切な)
- foolish(馬鹿な)
- stupid(馬鹿な)
too~to…構文
too~to…で「~するには…すぎる」→「~すぎて…できない」という意味になります。これも副詞的用法です。
「to swim in」が副詞的用法で、形容詞の「dangerous」を修飾しています。inの付け忘れに要注意です。
どう危険なのか?-「泳げないくらい危険だ」という意味です。ちなみに、「to swim in」の目的語は主語の「This river」です。つまり、「to swim in this river(この川で泳ぐこと)」という関係になります。
「程度」を表す不定詞の重要構文
to 不定詞が《程度》を表す重要構文にはenough to~やso~as to…があります。
形容詞[副詞]+enough to doで「to doするほど十分に~だ」という意味になります。この例文ではactive enoughで「十分に活動的だ」という意味を表し、to play~で「どのくらい活動的なのか?」を表現しています。
so~as to…で「…するほど~だ」という意味になります。この例文では「街のあちこちに連れて行ってくれるほど親切だ」という意味を表しています。
SVO+to do型
SVO+to do型は第5文型をとり、<O>とto doの間に主語/述語関係が成立します。このあたりの詳細は「英語の基本5文型が17の図解でわかる!見分け方も解説」を参照して頂ければと思います。
上記の記事では不定詞からtoをとって動詞の原形だけを残した「原形不定詞」についてもわかりやすく解説しています。
be to不定詞
be to不定詞は、あたかも助動詞のようにふるまい「~することになっている」と訳します。
【語彙】hold(~を開催する)
(例文1)、(例文2)ではis toが助動詞のような役割をしています。つまりis toがbe going toの代わりをしています。
疑問詞+不定詞
疑問詞+to 不定詞で名詞句を作ることができます。名詞句とは複数の語のカタマリが1つの名詞の役割を果たすものです。
疑問詞+to 不定詞は「~すべき」というニュアンスになります。さっそく、3つの例文で確認してみましょう。
what to doで「何をすべきか」という意味です。
when to stopで「いつやめるべきか」という意味です。
疑問詞がwhichのときだけ、which+名詞+to 不定詞になります。which dress to wearで「どのドレスを着るべきか」という意味になっています。
目的語が不定詞と動名詞で意味が違ってくる動詞
冒頭で紹介したrememberなどの動詞は目的語が不定詞か動名詞(~ing)かで意味が違ってきます。目的語に不定詞をとるときは「未来志向」の意味を表し、動名詞をとるときは「過去」や「いましていること」を表します。
「(未来に)カギをかけるのを忘れないように」という意味です。不定詞なので未来志向の意味になっていますね。
(例文2)では、同じforgetでも動名詞のseeingを目的語にとっているので、「~したことを忘れない」と過去の意味になっていますね。
目的語が不定詞と動名詞で意味が異なる動詞一覧
- remember to do(~することを覚えている)
- remember doing(~したことを覚えている)
- forget to do(~することを忘れる)
- forget doing(~したことを忘れる)
- regret to do(残念ながら~する)
- regret doing(~したことを後悔する)
- try to do(~しようとする)
- try doing(試しに~してみる)
不定詞だけを目的語にとる動詞
不定詞の時間的イメージは未来なので、以下のように「これからすること」を意味する動詞が不定詞だけを目的語にとる傾向があります。
【不定詞のみを目的語にとる動詞一覧】
- decide to do(~することを決心する)
- plan to do(~を計画する)
- intend to do(~するつもりだ)
- expect to do(~するつもりだ)
- want to do(~したい)
- hope to do(~したい)
- wish to do(~したい)
- would like to do(~したい[丁寧な表現])
- promise to do(~することを約束する)
- agree to do(~することに同意する)
- offer to do(~しようと申し出る)
しかし、例外的に以下の動詞は不定詞だけを目的語にとりますが特に未来の意味合いにはなりません。
- refuse to do(~するこを拒む)
- fail to do(~しない/~できない)
- hesitate to do(~をためらう)
- pretend to do(~するふりをする)
- manage to do(どうにか~する)
- can afford to do(~する余裕がある)
練習問題-厳選5題-
不定詞の練習問題を厳選して5題、用意しました。「+解答解説」ボタンを押すと答えを見ることができます。余裕のある方は是非参考にしてみて下さい。解説の理解を深める効果を期待できます。
1.Some people find( )difficult to economize on mobile phone costs even when times are hard.
①everything ②it ③that ④things
【語彙】economize(節約する)
2.I want a knife to cut this bread( ).
①on ②to ③with ④of
3.正しいのはofとforのどっち?
It was careless (of / for) you to forget your homework.
4.Please remember( )this letter tomorrow.
①mailing ②not forget ③posting ④to mail
5.After a lot of problems she( )to learn to drive a car.
①give up ②managed ③put off ④succeeded
まとめ
以上で不定詞の解説を終わります。ここまで読んで頂き本当にありがとうございます!この記事では基礎レベル~大学入試共通テスト(旧・センター試験)レベルまでの不定詞の知識を確認してきました。大学受験・英検・TOEICの文法問題を解く際にもおおいに役立つはずです。皆様の英語学習の一助にして頂ければ幸いです!
コメント