英語の動名詞とは?基礎から応用まで徹底解説

完了動名詞が表す「時」の図解 動名詞

はじめに

「動名詞を基礎からやり直したい」と思っていませんか?

この記事を読み終わるころには、動名詞が面白いほど理解できるようになっています。

塾講師や家庭教師の経験を元に42冊の英文法の参考書を比較研究しました。

動名詞の「基礎の基礎」から大学入試共通テストレベルまで解説します。

大学入試・TOEIC・英検の文法問題が解けるように工夫しました。是非、参考にしてみて下さい。

動名詞とは

動名詞とは動詞に「~ing」をつけたもので、名詞の役割をします。

動名詞は「~すること」という意味になることが多く、名詞なので文中で主語(S)・補語(C)・目的語(O)になることができます。

speaking English(英語を話すこと

補足「動名詞は名詞なのでS・O・Cになることができる」という部分がよくわからない場合は「英語の基本5文型が17の図解でわかる!見分け方も解説」もあわせて参考にしてみて下さい。基本5文型をマスターすると英語力が飛躍的に高まるからです。

動名詞とはどういう文法項目か?

不定詞・動名詞・分詞の3つを準動詞といいます。「動詞に準ずる」という意味ですね。この中で、不定詞分詞はけっこう複雑なのですが、動名詞は割と簡単です。複雑な理屈はとくにない。つまり「覚えていればできるし、覚えていないとできない」という暗記勝負な分野です。

動名詞のS・C・Oとしての役割

①主語(S)になる場合

動名詞は「名詞」なので、主語(S)になることができます。

(例文)Speaking English requires a lot of practice.(英語を話すことはたくさんの練習を必要とする)

【語彙】require(~を必要とする)、practice(練習)

Speaking EnglishがS、requiresがV、a lot of practiceがOです。SVOの第3文型ですね。

動名詞が主語になる場合の例文の構文解析図

動名詞のSpeakingは元々は動詞だったので、Englishのように目的語をとることができます。

②補語(C)になる場合

(例文)Her hobby is taking pictures.(彼女の趣味は写真を撮ることだ)

taking pictures(写真を撮ること)の部分が動名詞で補語(C)の位置にきています。

動名詞が補語になる場合の例文とその構文解析図

③目的語(O)になる場合

(例文1)She enjoys playing the piano on Sunday.(彼女は日曜日にピアノを弾くことを楽しんでいる)

playing the pianoが他動詞enjoyのOになっています。

動名詞が目的語になる場合の例文とその構文解析図

(例文2)I am good at speaking English.(私は英語を話すことが得意だ)

動名詞と不定詞の大きな違いは、前置詞の目的語になれるかどうかです。動名詞は前置詞の目的語になることができます。

(例文2)ではbe good at~(~が得意だ)のatの目的語にspeaking Englishがきています。不定詞は前置詞の目的語になれないので、I am good at to speak English(×)とはできません。

補足at toという形は不自然なのでなかなか間違えないと思いますが、下記の問題のような場合はどうでしょうか?

問題:正しいのはspend?それともspending?

Most people look forward to (spend / spending) the summer vacation with their family or friends.
(ほとんどの人は家族や友達と夏休みを過ごすのを楽しみに待つ)

⇒答えは「+」ボタンを押すと見れます!

解答解説
look forward to doingで「~を楽しみに待つ」という意味です。従って、spendingが正解です。look forward to doingは文法問題で頻出なので覚えてしまっても良いでしょう。

動名詞の応用

動名詞の意味上の主語

「意味上の主語」とは文法的には主語ではないが、意味の上では「~が」に相当するものです。動名詞の意味上の主語は所有格になるのが基本です(動名詞が目的語になるときだけ目的格でも可)。所有格とはI-my-meのmyのことですね。

(例文)I am afraid of his being late.(彼が遅れることを心配している)

【語彙】be afraid of(~を恐れている)

he-his-himのhisが所有格です。この所有格のhisがbeing late(遅れること)の意味上の主語です。his being lateで「彼が遅れること」という意味になります。

つまり、I am afraid that he may be late.の関係です。

補足助動詞のmayは(たぶん~だろう)という推量の意味!

動名詞の否定形

動名詞を否定するときは、notを動名詞の直前に置きます。

(例文)I am sorry for not being in time.(間に合わず申し訳ありません)

being in time(間に合う)をnotで否定しています。

完了動名詞

動名詞の完了形はhaving+過去分詞で表し、主節の表す「時」よりも以前を意味します。

(例文)Her parents are proud of their daughter having been an astronaut.(彼女の両親は自分たちの娘が宇宙飛行士だったことを誇りに思っている)

【語彙】be proud of(~を誇りに思っている)、astronaut(宇宙飛行士)

their daughter(自分たちの娘)がhaving beenの意味上の主語です。

そして、having been an astronaut(宇宙飛行士であった)は、主節の動詞are proud ofよりも過去のことを表しているので、having+過去分詞になっています。

この時間のズレを図解すると下図のようになります。

完了動名詞が表す「時」の図解

つまり、Her parents are proud that their daughter was an astronaut.の関係です。

動名詞を目的語にとる動詞

動名詞を目的語にとる動詞には大きくわけて以下の3種類があります。

  1. likeのように動名詞をOにしても不定詞をOにしても意味が変わらない動詞
  2. rememberのようにOが動名詞と不定詞で意味が異なる動詞
  3. considerのように動名詞だけを目的語にとる動詞

ここからは2番目と3番目について詳しく解説していきます。

動名詞と不定詞で意味が異なる動詞

動名詞と不定詞はどちらも「~すること」という意味になりますが、不定詞が「未来」を表すのに対して、動名詞は「過去にしたこと/現在していること」を表します。

例えば、I remember meeting you.は「あなたに会ったことを覚えている」という意味になり、Please remember to post the letter.は「(未来に)手紙を投函することを忘れないで下さい」という意味になります。

以上をまとめると下記のようになります。

  • remember doing(~したことを覚えている)
  • remember to do(~することを覚えている)
(例文)I will never forget hearing your speech.(私はあなたのスピーチを聞いたことを決して忘れません)

forgetもrememberと同じように動名詞と不定詞で意味が異なる動詞です。意味の違いをまとめると下記のようになります。

  • forget doing(~したことを忘れる)
  • forget to do(~することを忘れる)

rememberやforgetのような動詞としては、regret(後悔する)やtry(試みる)が有名です。

  • regret to doing(~したことを後悔する)
  • regret to do(残念ながら~する)
  • try doing(試しに~してみる)
  • try to do(~しようとする)

動名詞だけを目的語にとる動詞

(例文)We considered going but finally decided against it.[関西外大・改](私たちは行くことを考えたが、最終的には行かないことにした)

冒頭で「動名詞はとくに難しい内容ではなく暗記の勝負」という旨のことをお話しました。「動名詞だけを目的語にとる動詞」は暗記するしかありません。

上記例文のconsider(~しようかと思う)はその代表ですが、これに加え以下のような動詞が動名詞のみを目的語にとります。

動名詞のみをOにとる他動詞一覧

頭文字をとって「メガフェップス(MEGAFEPS)」と覚えます。

  • mind doing(~することを気にする
  • enjoy doing(~を楽しむ
  • give up doing(~することをやめる
  • avoid doing(~することを避ける
  • finish doing(~を終える
  • escape doing(~から逃れる
  • practice doing(~することを練習する
  • stop doing(~するのをやめる

なお、覚えるのが大変ですがMEGAFEPS動詞以外にも以下のような、動名詞のみをOにとる動詞が試験で出題されます。とくに大学入試のために英語を勉強している人は必ず暗記しておく必要があります。

  • consider doing(~しようかと思う
  • deny doing(~することを否定する
  • imagine doing(~することを想像する
  • miss doing(~することを避ける
  • resist doing(~することに抵抗する
  • fancy doing(~することを想像する
  • suggest doing(~することを提案する
  • admit doing(~することを認める反意語deny
  • risk doing(あえて~する
  • appreciate doing(~ということを感謝する
  • repent doing(~したことを残念に思う
参考例文I will risk going abroad.
(私はあえて海外へ行くだろう)

練習問題-厳選5題-

補足「+解答解説」ボタンを押すと答えを見ることができます。

1.I remember(  )a lot of songs together for hours three years ago.

①of singing ②to sing ③us singing ③we singing

解答解説1
青山学院大学の過去問です。全訳は「3年前にたくさんの歌を何時間も一緒に歌ったのを、私は覚えている」です。remember doingは「~したことを覚えている」という意味でしたね。そして、動名詞が目的語になるとき、意味上の主語は所有格か目的格かのどちらかで表すのでした。we-our-usのourが「所有格」でusが「目的格」です。従って③us singingが正解です。ちなみに動名詞が主語になるときに使える意味上の主語は所有格だけです。

2.John refused a job offer from the bank, but now he regrets(  )it.

①not having accepted ②not having to accept ③not to have accepted ④to have not accepted

解答解説2
武蔵川女子大学の過去問です。全訳は「ジョンは銀行からの仕事の依頼を断ったが、今ではオファーを受けなかったことを後悔している」です。主節の動詞”regrets”よりも以前のことを表すためにhaving+過去分詞の形が必要です(「今後悔している」より過去に「受けなかった」の関係)。また動名詞を否定する場合は直前にnotを置くので、①not having acceptedが正解です。

3.Would you mind(  )the window?

①open ②opening ③to open ④you open

解答解説3
青山学院大学の過去問です。全訳は「窓を開けてくれませんか?」です。mindは動名詞のみをOにとる動詞なので、②openingが正解です。mind doingで「~することを気にする」なので直訳は「窓を開けることは気にしますか?」になります。これが転じて「依頼」の意味を表します。Would you~は丁寧な依頼の表現ですね。

4.Have you finished(  )your essay?

①to write ②writing ③to have written ④to be writing

解答解説4
明治大学の過去問です。全訳は「論文は書き終わりましたか?」です。動名詞は暗記がものを言います。finishは動名詞だけを目的語にとる動詞なので、②writingが正解です。

5.He admitted(  )money.

①stealing ②that he had stole ③to have stolen ④to steal

解答解説5
千葉商科大学の過去問です。全訳は「彼はお金を盗んだことを認めた」です。admit(~を認める)は動名詞だけを目的語にとり、不定詞を目的語にすることはできません。従って③と④は不正解です。残るは①stealingか②that he had stoleですが、②をよく見ると過去完了のhadの後の動詞が過去形になっています。正しくはhad stolenのように、had+過去分詞の形です。故に①stealingが正解です。ちなみにadmitの反意語のdeny(~を否定する)も動名詞のみを目的語にとる重要動詞です。

まとめ

以上で、基礎レベル~大学入試共通テスト(旧センター試験)レベルまでの動名詞の解説を終わります。ここまで読んでいただきありがとうございます!この記事が大学入試・TOEIC・英検の勉強のお役に立てば幸いです!

関連記事

コメント