「時制の一致」っていまいちピンとこないですよね。そうしたモヤモヤを完全解消すべく、時制の一致をどこよりもわかりやすく丁寧に解説しました。
是非、大学入試・英検・TOEIC・英会話などの参考にしてみてください!
時制の一致とは
私は彼女が幸せだと知っている。
時制の一致とは主節の動詞にthat節内の動詞の時制をあわせることをいいます。
つまり時制の一致とは「主節の動詞が過去形になったときだけ、それにあわせてthat節の動詞も過去形や過去完了形に変化すること」です。
ここでいう”主節の動詞”とは簡単に言えば「最初の動詞」のことです。
つまり「I know that she is happy.」の「know」が主節の動詞です。
主節の動詞もthat節の動詞も現在形のとき
そして、時制の一致の法則は、主節の動詞が「現在」のときは発動しません!
時制の一致の法則が発動するのは主節の動詞が「過去形」のときだけです!
例えば、
①I know that she is happy.(私は彼女が幸福だと知っている)
↓
②I knew that she was happy.(私は彼女が幸福だと知っていた)
となります。
主節の動詞が現在形でthat節の動詞が過去形のとき
では次の例文です。
私は彼女が幸福だったことを知っている。
この例文の動詞が「know→knew」になったらwasはどうなるでしょうか?
以下のようになります。
③I know that she was happy.(私は彼女が幸福だったことを知っている)
↓
④I knew that she had been happy.(私は彼女が幸福だったと知っていた)
③→④ではknow→knewの変化に伴って、wasは「過去のさらなる過去」を表す必要があるため、was→had beenに変化しました。
大過去
主節の動詞が「過去形」ならば、that節の動詞は主節の動詞を「基準」として表すことになります。
つまり、
「②I knew that she was happy.」の場合、「彼女が幸福だ」は「知っていた」と同じ時のことなのでknewと同じ過去形のwasになります。
また、「④I knew that she had been happy.」の場合、「彼女が幸福だった」は「知っていた」よりもさらに過去の話なので、過去のさらなる過去(大過去)を表す過去完了形になります。
わかりにくいかもしれませんが、「過去のそのまた過去」のことを大過去といいます。
過去と大過去の関係を図解してみます。
このことをより深く理解するために、もう一度、似たような例文で確認してみましょう。
I know that he wrote novels.(私は彼が小説を書いていたと知っている)
↓
I knew that he had written novels.(私は彼が小説を書いていたことを知っていた)
この例でも「know→knew」と変化するので、時制の一致により「wrote→had written」に変わります。
「had written」は「wrote」より以前のこと(大過去)を表しています。
従属節ってなんだ?
ちなみに、that節のことを文法用語では従属節(じゅうぞくせつ)といいます。
従属節とは主節の一部として組み込まれた接続詞や関係詞が導くSVのカタマリのことです。
補足主節とはある英文で意味的な中心になっているSVのカタマリのこと!時制の一致の影響を受けるのはthat節だけではない!
時制の一致とはより正確には主節の動詞が「過去形」のときのみ、従属節の動詞を<過去形>や<過去完了形>にすることです。
従属節としては「that節」が代表的ですが、if(~かどうか)や疑問詞が導く名詞節も従属節です。
つまり時制の一致の影響を受ける従属節はthat節だけではないということです。
彼は忙しいのかなと思った。
【語句】wonder[他動詞]「~かなと思う」
この例文の主節の動詞は「wondered」です。従属節は「if he was busy」です。ifは「~かどうか」という意味の接続詞です。主節の動詞が過去形なので、従属節の動詞も時制の一致で過去形になっています。
私は彼がいつ戻るのか知らなかった。
この例文も主節の動詞が過去形なので従属節(when~)の動詞がwouldと過去形になっています。
なお、though(だけれども)やbecause(なぜなら)も時制の一致の影響を受ける従属節です。
例題
下記の芝浦工大の過去問は良問です。この問題を解くことで、いまいちわかりにくい「過去のそのまた過去(大過去)」の概念が理解できるようになると思います。
例題次の英文を書き換えたとき( )に当てはまる語は?1.A friend of mine said to me, “The party was really a success.”
=A friend of mine told me that the party( )really( )a success.
ヒント:reallyは副詞なので無視して考えるとわかりやすいです!
時制の一致の例外
時制の一致の例外はよく入試問題に出題されます。主節の動詞が過去形でも従属節の動詞が時制の一致の影響を受けないことがあります。
- 不変の真理
- 歴史上の事実
- 現在も変わらない事実・習慣・習性・職業
- 仮定法
- 異なる時期の比較を表す副詞節
この5つは時制の一致の影響を受けません。
例外①不変の真理
彼は水は100℃で沸騰すると言った。
centigradeは「摂氏」という意味です。「水が100℃で沸騰する」というのは、不変の真理(いつの時代も変わらないルール)なので、主節の動詞が「said」でも、that節の動詞はboilsのままです。
例外②歴史上の事実
コロンブスがアメリカを発見したのは1492年だと習った。
この例文では主節の動詞が過去形なので、普通なら従属節(that節)の動詞は時制の一致の影響を受けhad+過去分詞になります(「コロンブスがアメリカを発見した」は大過去だからです)。
過去のそのまた過去(大過去)は、過去完了形を使ってhad+過去分詞で表すはずですが、歴史的事実は時制の一致の例外なので、過去形のままでいいのです。
ちなみに、歴史上の事実はどんなときも常に過去形になります。
例外③現在も変わらない事実・習慣・習性・職業
彼は私に大学生だと言った。
「彼が大学生であること」は現在も変わらない事実なので時制の一致の例外です。
つまり、今現在にもあてはまることは原則として時制の一致の影響を受けません。
例外④仮定法
仮定法も時制の一致の例外です。
仮定法の文に時制の一致の法則を適用すると意味が全く異なるものになってしまうからです。
仮定法は「現実味の薄いこと」を述べるために、あえて時制をずらしているだけなので、時制の一致とは無縁なのです。
He says that he would become a doctor if he had more money.(彼はもっとお金があれば医者になると言っている)
↓
He said that he would become a doctor if he had more money.(彼はもっとお金があれば医者になるだろうと言った)
例外⑤比較を表す副詞節
その頃の彼は、今の私より歳をとっていた。
that節が名詞節なのに対して、than S V~は比較を表す副詞節です。
補足副詞節とはSVのカタマリが1つの「副詞」になること!異なる2つの時期を比較する場合、主節と副詞節(than~)の間では時制の一致は行われません。
この例文のように、過去と現在を比較している場合に、時制を一致させてしまうと文意がめちゃくちゃになってしまうからです。
しかし、同じ比較構文でも、下記の例文のように、時期を比較しているわけではない場合は時制の一致が起きます。
その宿題は彼が思っていたよりも、だいぶ簡単だった。
時制の一致と助動詞
私は彼がその本を読むだろうと思った。
この例文では主節の動詞が「thought」と過去形なので、that節(従属節)の助動詞も過去形になっています。
彼は彼女がそこに行かなけれなならないと言った。
しかしこの例文の「must」ように過去形がない助動詞は時制の一致の影響を受けても、そのままで問題ありません。
ただし、この例文の「must」は「義務」の意味なので、「He said that she had to go there.」 とすることもできます。
もちろん元の例文のように「must」のままでもOKです。
時制の一致の練習問題-厳選5題-
大学入試の過去問から「時制の一致」の練習問題を5問厳選しました。ここまでの解説をさらに深く理解できるよう工夫しましたので、余裕があれば是非参考にしてみて下さい。
なお、「+解答解説」ボタンを押すと答えを見ることができます。もちろん詳しい解説付きです。
1.My elementary school teacher said that the earth( )round.
①be ②had been ③were ④is
2.In high school, we learned that Kinkakuji( )in 1397.
①had been built ②builds ③was built ④built
3.The manager said his team( )win the soccer league and they actually did the next season.
①will ②would
4.I never expected that she( )us.
①would join ②will join ③join
5.I wondered where they( )till then.
①be ③were ③had been
まとめ
主節の動詞が過去形ならば、基本的に時制の一致の法則が発動します(不変の真理など例外あり!)。一方、主節の動詞が現在形ならばthat節などの従属節の時制は自由です。
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