受動態とは
「彼女がこの本を書いた」のように「AがBを~する」の形をした文を能動態といいます。反対に、「この本は彼女によって書かれた」のように「BがAに~される」という形の文を受動態といいます。
まずは受動態の入門として、上記の例文を受動態に書き換える手順を復習するところからはじめましょう。
- 目的語を主語にする
- 動詞を「be動詞+過去分詞」にする
- 元の文の主語をby~で表す
文章で書くとわかりずらいですよね。なので1~3の手順を図解します。
まず元の文の目的語「this book」を受動態の文の主語にします。次に、元の文の動詞「wrote」をbe動詞+過去分詞の形にします。つまり「wrote→was written」です。最後に、元の文の主語を「by~」で表します。この例文の場合は「She→by her」です。
これで書き換え完了です。「This book was written by her.(その本は彼女によって書かれた)」が完成しました。
受動態が活躍する3つの場合
受動態は次のような場合に活躍します。
- 誰が~したのか不明なとき
- 誰が~したのかを表す必要がないとき
- 誰が~したのかを強調したいとき
これだけでは抽象的でわかりにくいですよね。なので、具体的な例文を確認しながら上記の3パターンを理解していきましょう。
(例文1)は「誰が~したのか不明なとき」です。「誰が窓を壊したのか?」がわからない!だから、「窓が壊された」を表現するには受動態が最適なんです。もちろん「AがBする」という能動態を使って「Someone broke the window.」と表すこともできますが、この場合、受動態の方が適しています。
【語彙】elect(~に選出する)
(例文2)は「誰が~したのかを表す必要がないとき」です。大統領を選ぶのが国民なのはわかりきっていることです。受動態を使えば主語の「国民」を省略することができるというわけです。
英文法には「文末焦点」という言葉があります。簡単に言うと重要な情報ほど後ろに持ってくるというルールです。そのため「誰がやったのか?」を強調するには、行為者をby~という形で文末に置ける受動態が便利です。
(例文3)では、電話機の発明者が「エジソン」であることを強調するために受動態を使っています。
by~はレア
受動態といえば「by~」ですが、受動態では基本的に「by~」はあまり使いません。by以下を置くのは「誰が~したのか?」を強調したいときだけです。
受動態の応用
ここからは受動態のより発展的な知識をお伝えしていきます。
進行形の受動態
受動態の進行形はbe+being+過去分詞で表します。慣れるまでは少しわかりずらいので能動態の例文と比較しながら見ていきましょう。
完了形の受動態
受動態の完了形はhave+been+過去分詞で表します。通常の現在完了形と同様に、
- 継続「~されてきた」
- 経験「~されたことがある」
- 完了「~された」
の3つの意味を表します。
この例文は現在完了形の《完了》の意味ですね。
第4文型の受動態
第4文型はS+V+O1+O2です。第4文型の英文を受動態にするときは、<O1>を受動態の主語にし、<O2>はそのまま残します。
まずは第4文型の能動態の文を確認するところからはじめましょう。
meが<O1>、a bookが<O2>です。なのでmeは受動態の主語になります。a bookはそのままにしておきます。なお主語のHeはby himとなり受動態の文の文尾に置きます。
使役動詞/知覚動詞の第5文型の受動態
let, have, makeなどの使役動詞やsee, hearなどの知覚動詞が第5文型になるとき、補語(C)には原形不定詞(動詞の原形)を置きます。
そして、この形が受動態になると原形不定詞だった部分がto 不定詞に変わります。
この例文を受動態にすると原形不定詞のenterがto enterに変わります。
群動詞の受動態
群動詞とは複数の語で1つの動詞の役割をするものです。例えばspeak toは2語がセットになって1つの動詞という認識です。群動詞を受動態にするときは前置詞もセットにすることを忘れないようにしましょう。
「A stranger speak to the little girl.」が受動態になった形です。speak toで1つの他動詞のように扱います。
by以外で動作主を表す受動態
「be known」という形になるときはbyではなくto/for/asで動作主を表します。またbe coveredはwithで動作主を示します。
by~のかわりにto~が使われている点に着目しましょう。be known to~で「主語が~に知れ渡っている」という意味を表します。
be known for~は「~で知られている」という意味です。
【語彙】mascot(マスコット)
be known as~は「~として知られている」という意味です。
be covered(覆われている)の動作主を表すときはbyではなくwithを使います。be covered with~で「~で覆われている」という熟語として覚えてしまいましょう。
コメント