乳首の悲劇

乳首から滲出液の悲劇

アトピー性皮膚炎で嫌になることのひとつが、滲出液です。

私は、滲出液が出ると、絶望的な気分になります。特に、夜中に顔から出てきたときの絶望感といったらありません。

ごく親しい知人から、「アトピーの調子はどう?」と聞かれたときに、「今は液が出てるので…」と話したら、とても驚いていました。

それもそのはず、普通の人は、体から液が漏れたりしないでしょう。

私のアトピー歴のなかでは、手首と足首から先以外の、全身から滲出液が出てきたことがあります。

なかでも、長期間にわたり出つづけた場所として、一番思い出深いのが、乳首からの滲出液です。

脱ステ後と、脱保湿の前後、かなり悪化していたときに、何度か経験しました。

乳首から滲出液が出て困るのは、次の2点です。

  • 服が滲出液で汚れる
  • 服との摩擦で乳首が痛い

白いTシャツを着たときは、下の図のように、滲出液で汚れた乳首のあたりが目立ってしまいます。乾くとパリパリになります。悲劇です。

どこからどう見ても、普通ではありません。

また、乳首から滲出液が出ているときは、乳首がびらん状態のようになるので、服に当たると痛いです。これまた悲劇です。

乳首滲出液対策・その①

この2つの悲劇から逃れようと、当時、私はよく下の図のように、服と乳首の間に隙間を作るようにして歩いていました。

乳首が物理的にどこにも接触しないようにする対策です。

しかし、上記の対策では、当然ながら、不十分でした。この姿勢をずっと維持できないからです。姿勢を正せば、乳首が服に当たり、汚れがついてしまいます。

乳首滲出液対策・その②

次に試したのは、傷には「ガーゼ」という古くからある対策です。

ガーゼは全然ダメでした。微妙に硬いのでこすれて痛みを感じたのと、滲出液を吸収しきれなかったからです。

乳首滲出液対策・その③

ガーゼ以外で何か良いものはないだろうかと、ドラッグストアへ行き、包帯やガーゼが置いてあるコーナーの商品をチェックしました。

その中で目を引いたのが、「リント布(りんとふ)」でした。柔らかくて、乳首とこすれても痛くなさそうです。

リント布は正解でした。こすれても痛くありませんし、ある程度吸収力があります。

リント布を乳輪が十分に隠れる程度の大きさに切り、柔らかく起毛している方を乳首に当てて、肌に優しいタイプのサージカルテープで十字に留めました。軟膏は使いませんでした。私はこのやり方でやり過ごしましたが、もっと良いやり方があるかもしれません。

このように、私は乳首の滲出液対策として、リント布にたどりつきました。実は、多くのアトピー性皮膚炎患者が乳首にリント布を利用しているようです。

局部的なアトピーでなくても、リバウンドは乳首やビキニラインによく出て鬱陶しい。服を脱がせると両乳首にリント布を当てていることが多い。一人で思い悩んだ挙げ句の筈なのに、皆示し合わせたようによく似た対処法を取っている。1)深谷元継, ステロイド依存ーステロイドを止めたいアトピー性皮膚炎患者のために, 柘植書房新社, 1999.

乳首滲出液対策・その④

私は脱ステ・脱保湿を実践していたので、乳首に何も外用しませんでした。それでも、首と胸周りのひどい炎症が徐々におさまるにつれ、自然に止まりました。

一方で、脱ステ医の佐藤健二氏によれば、脱保湿をしている場合でも、乳首に亜鉛華軟膏を外用することはかまわないとしています。

脱保湿中の例外がある。乳輪や乳頭に湿疹があって滲出液が出る場合と四肢の貨幣状湿疹に対してのみ亜鉛華軟膏を使用することがある。時々効果のあることがある。2)佐藤健二, <新版>患者に学んだ成人型アトピー治療ー難治化アトピー性皮膚炎の脱ステロイド・脱保湿療法, 柘植書房新社, 2015.

ただし、亜鉛華軟膏は「時々効果のあることがある」ということなので、過度な期待は禁物のようです。

アトピー患者のなかには、乳首の湿疹や滲出液で悩んでいる方も多いと思います。私は滲出液だけでなく、血も少し出ました。かなり悩まされました。

けれども、数年前の春に数か月間出たとき以降は、ジクジクすることはあっても、滲出液は出ないようになりました。

憶測ですけれども、胸周りの炎症が強いときに、滲出液が乳首からもれやすいのではないかと思います。胸周りの炎症がおさまれば、滲出液が止まるように感じます。

乳首からの滲出液による最大の悲劇

乳首から滲出液が出るだけなら、まだましです。

私に起きた最大の悲劇は、滲出液が出続けた結果、乳首が肥大化してしまったことです。

肥大化は不可逆的で、形成手術でもしない限り、治りそうもありません。

最初の乳首の肥大化が起きたのは、ステロイド(プロトピック)のリバウンド時です。

滲出液がようやく止まった時、多く液が出ていた右側の乳首が、左の乳首の1.5倍ほどの大きさに肥大化してしまいました。

その後も乳首からの滲出液は何度か出てきたので、左もやや肥大化し、左右差は縮まりました。うれしいような、悲しいような変化です。

以後、Tシャツを着ると、乳首が浮き出るようになってしまいました。恥ずかしいです。

私のように、乳首の肥大化を体験された方が、少なからず存在すると思います。「乳首のアトピーの跡」などのキーワードで検索をかければ、同様の悲劇に見舞われた人々の体験談を目にすることができるでしょう。

私の場合は、

「ステロイド治療→ステロイド依存→脱ステロイド→滲出液→乳首肥大化」

「ステロイド治療→保湿依存症→脱保湿→滲出液→乳首肥大化」

というパターンでした。

ステロイドさえ使わなければ、乳首が大きくなるなんて悲劇は起きなかっただろうと、大変残念に思います。

(当サイトはいかなる治療法をも推奨するものではありません。また、当サイトに掲載されている情報を利用することにより発生したいかなる損害についても責任を負うものではありません。)(引用部分の赤字による強調表示は当サイトによります。)

References   [ + ]

1. 深谷元継, ステロイド依存ーステロイドを止めたいアトピー性皮膚炎患者のために, 柘植書房新社, 1999.
2. 佐藤健二, <新版>患者に学んだ成人型アトピー治療ー難治化アトピー性皮膚炎の脱ステロイド・脱保湿療法, 柘植書房新社, 2015.

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