ステロイド外用薬の副作用(2:皮膚バリア機能低下)

アトピー性皮膚炎患者において、皮膚バリア機能の低下が指摘されています。

皮膚バリア機能の低下、つまり、セラミドなど細胞間脂質の欠乏により角層水分量が維持できず、皮膚透過性の亢進によりアレルゲン等が侵入しやすいことなどから、アトピー性皮膚炎が悪化するといわれています。

そのため、外用薬治療などのスキンケアにより、皮膚バリア機能を高めることが有効であると考えられています。

 

一方、ステロイド外用薬は、皮膚バリアを強めるのではなく、皮膚バリアを弱める方向に働くことがわかってきています。

プロアクティブ療法の第一人者、ドイツのWollenberg医師は、ステロイド外用薬の長期使用によって、皮膚バリア機能が低下することを指摘しています。

ステロイド外用薬を長期的・間欠的に使用すると、バリア機能が低下することがわかっています。炎症が良くなる反面、バリア機能は低下するのです。

タクロリムス軟膏を使用すると炎症が軽快し、且つバリア機能も向上します。

ですからバリア機能の改善、表皮の増殖や分化過程を正常レベルに戻すには、バリア機能にプラスに作用するタクロリムス軟膏を使用するべきでしょう。*1

次に引用する研究では、ステロイド外用薬の使用によってTEWLの上昇が認められたこと、また、細胞間脂質を含む角質層および顆粒層が減少するなど、皮膚バリア機能が損なわれたことが指摘されています。

なお、TEWLとは Transepidermal water loss の略で、経表皮水分蒸散量のことです。TEWLの上昇は、皮膚バリア機能の低下を表すものとされています。

ステロイド外用薬によって治療された萎縮した皮膚は、角質細胞層が正常な皮膚の18層と比べて平均で9.4層と少なく(P < 0.001)、TEWLは正常な皮膚の6.7g/m2と比べて21.3g/m2に上昇した(P < 0.01)。角質層の平均中性脂肪もまた著しく低下した (P < 0.001)。さらに、電子顕微鏡的研究は、萎縮した皮膚において、角質層の細胞間脂質ラメラ構造および顆粒層の層板顆粒が双方とも著明に減少していることを明らかにした。これらの結果は、細胞間脂質ラメラ構造と角質細胞層の減少が、ステロイド外用薬の長期使用後のバリア機能障害の要因として重要な役割を果たしていることを示唆している。*2

次の研究でも、ステロイド外用薬(ここではベタメタゾン吉草酸エステル)によって、直接的に皮膚バリア機能が損なわれたことが指摘されています。研究では、ステロイド外用薬とカルシニューリン阻害剤(ここではピメクロリムス)の効果の違いが比較されています。そして、カルシニューリン阻害剤に比べて、ステロイド外用薬は、効果的に炎症を抑えるけれども、皮膚バリア機能の回復を阻害しうると結論づけています。

ベタメタゾン吉草酸エステル(BM)により、免疫細胞のマーカーエンコード遺伝子のmRNAレベルや、炎症、樹状細胞、T細胞、サイトカイン、ケモカイン、セリンプロテアーゼが著しく減少したが、ピメクロリムスはわずかな効果しか見られなかった。これは、ピメクロリムスよりBMのほうがより効果的に炎症を抑えるという臨床所見を裏付けるものである。皮膚バリア機能にとって重要な分子エンコード遺伝子に対する影響は異なっていた。BMもピメクロリムスも、フィラグリンやロリクリンの発現を正常化した。しかし、脂質合成に関する律速酵素の発現や、セラミドを共有結合させるインボルクリンおよび低分子プロリンリッチタンパク質の発現は、BMでは著しく減少したが、ピメクロリムスでは顕著な減少は見られなかった。これより、BMによる治療後に見られた機能性皮膚角質層の欠如が説明できる。(中略)

この遺伝子発現プロフィールは、コルチコステロイドはより強力な抗炎症効果を及ぼすが、皮膚バリアの回復を阻害する可能性があるという、我々の過去の知見と一致する。*3

以上のような、ステロイド外用薬が皮膚バリア機能を低下させるという考え方は、プロトピックやピメクロリムスなどのカルシニューリン阻害剤が、ステロイド外用薬よりも副作用が少ないという文脈のなかでよく見受けられます。

(引用部分の翻訳は当サイトによります。正確な翻訳を期していますが、正確性を保証するものではありません。赤字は当サイトによる強調表示です。)

*1:Prof.Wollenbergに聞く!アトピー性皮膚炎の寛解維持期における治療戦略 | プロトピック軟膏スペシャルページ | マルホ株式会社

*2:Br J Dermatol. 1997 Jun;136(6):884-90. “Depletion of stratum corneum intercellular lipid lamellae and barrier function abnormalities after long-term topical corticosteroids.”

*3:Allergy  Volume 67, Issue 3, pages 413–423, March 2012
“Gene expression is differently affected by pimecrolimus and betamethasone in lesional skin of atopic dermatitis.”

2件のコメント

  1. はじめまして。私もアトピーです。
    時々使用すればリバウンドは防止できるのでしょうか?私は駄目でした。なぜでしょうか。

  2. はじめまして。
    ごめんなさい。どのようにすればリバウンドが防止できるのかについて、私にはわかりません。
    お力になれず、申し訳ありません。

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