オランダLarebがステロイド離脱症候群の報告を受理

オランダ医薬品評価委員会 (Medicines Evaluation Board, MEB) およびオランダ保健省により設立された独立機関、オランダ薬剤監視センター (Netherland Pharmacovigilance Centre, Lareb) が、2016年7月5日付で、次の報告をしています。

 

Topical corticosteroids and steroid withdrawal syndrome in atopic eczema

「アトピー性皮膚炎におけるステロイド外用剤及びステロイド離脱症候群」

 

https://www.lareb.nl/en/news/topical-corticosteroids-and-steroid-withdrawal-syndrome-in-atopic-eczema/

 

この報告の概要が、Lareb ウェブサイトの 2016年7月7付 News updates に掲載されています。文書へのリンクもあります。1年前の Newsですが、アトピー患者にとって重要な報告と思われるので翻訳引用します。

オランダ薬剤監視センターLarebは、クラス2-4のステロイド外用剤の長期使用と関連するステロイド離脱症候群に関する19のレポートを受理した。

すべての患者は湿疹のために数か月から数年にわたり間欠的にステロイド外用剤を使用していた。中止後の数日から数週間以内に、患者には、湿疹の重症化や、ステロイド外用剤を塗布していなかった部位にまで全身に広がることもある、重度の極めて激しい紅斑が発症した。そのため、同等又はより強いステロイド外用剤を皮膚に再び塗ることとなり、依存につながった。多くの患者はステロイド外用剤の完全な中止から数か月で回復した。

リバウンドの兆候や症状において、依存を引き起こす、ステロイド外用剤長期治療の役割を認識することは重要である。急な中止は避けるべきである。ステロイド外用剤治療は、完全な離脱前に、より弱いクラスのステロイド外用剤の処方や、間欠的治療により、徐々に漸減されるべきである。 1)Topical corticosteroids and steroid withdrawal syndrome in atopic eczema

なお、Larebが受理した19のレポートとは、1996年から2016年までの期間の、ステロイド外用剤使用に関連する離脱症候群についてのものです。ステロイドの使用期間は3か月から27年でした。

多くのケースでクラス2-4のステロイド外用剤が使用されていたとのことです。クラス1は弱、クラス2は中等、クラス3は強、クラス4は非常に強で、日本のガイドラインと似たようなクラス分けです。

 

注目されるのは、オランダLarebが、ステロイドによる「依存」や「リバウンド」を、当然に認識していることです。

With long-term treatment of chronic dermatoses a steroid dependency may develop, especially with the higher steroid classes, expressing itself in rebound symptoms or flare of the disease after discontinuation of therapy. Therefore, the therapy should be tapered. A rebound effect is described in the SmPCs of several, but not all topical corticosteroids. Lareb received reports of severe skin problems after discontinuation of long term use of topical steroids.

慢性的な皮膚疾患の長期的治療においては、特に強いクラスのステロイドを使用した場合、ステロイド依存が起こり、リバウンド症状や使用中止後の炎症をきたしうる。それゆえ、ステロイド治療は漸減されるべきである。リバウンド作用については添付文書に記載されていることもあるが、ステロイド外用剤の全てに記載されているわけではない。Larebはステロイド外用剤の長期使用中止後の深刻な皮膚症状について報告を受けている。

ところで、Larebによれば、欧州では、多くのステロイド外用剤の添付文書 (SmPC, Summary of product characteristics) に、rebound リバウンド症状についての記述があるそうです。

しかし、記述されていないものや、乾癬に関連する rebound のみしか記述されていない場合もあると指摘しています。

そこで、私も少しばかり検索してみました。

イギリスの electronic Medicines Compendium (eMC) などで、添付文書 (SPC, SmPC) を検索できます。

 

Mometasone Furoate (Elocon Cream®) の添付文書には次のようにありました。

As with all potent topical glucocorticoids, avoid sudden discontinuation of treatment. When long term topical treatment with potent glucocorticoids is stopped, a rebound phenomenon can develop which takes the form of a dermatitis with intense redness, stinging and burning. This can be prevented by slow reduction of the treatment, for instance continue treatment on an intermittent basis before discontinuing treatment.

強力なステロイド外用剤を用いるときは、急な治療中止を避ける。長期間の強力なステロイド外用剤による治療を中止すると、激しい発赤、刺激、炎症を伴う皮膚炎の形をとるリバウンド現象が生じうる。これは、例えば治療中止の前に間欠的な治療を行うなど、ゆっくりと治療を減らしていくことで防ぎ得る。

 

一方、clobetasone butyrate (Eumovate® Cream) の添付文書には次のようにありました。

Rebound of pre-existing dermatoses can occur with abrupt discontinuation of topical corticosteroids especially with potent preparations.

特に強力なステロイド外用薬の突然の中止により、既存の皮膚病のリバウンドが生じ得る。

こちらは、「すでに存在する皮膚病のリバウンド」と表現されています。これは、日本でいうところの、「アトピー性皮膚炎そのものの増悪」に相当するように思います。

今のところ、reboundの捉え方は、添付文書によりまちまちです。

 

さて、世界中でステロイドによる依存やリバウンドについての報告は枚挙に暇がありません。

そうしたなか、オランダの独立機関が steroid withdrawal syndrome について文書にまとめたことは、ひとつの意義があると思います。文書を英語で読めますので、興味のある方はお読みいただくとよいでしょう。

日本では、「リバウンドは存在しない」などと主張する医師を稀に見かけますが、もはやそれは特異な考え方といえます。

今では、依存やリバウンドを認識し、いかに依存やリバウンド症状を生じさせないようにするかを考える段階に来ているといえるでしょう。

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