アトピーに詳しくなる必要はない

ブログをやっていると、ネット上の他のアトピー患者の言うことを目にする機会が多くあります。

いろいろな患者がいますが、そのなかに、 “自分はアトピーに詳しい” という患者がいます。

「患者のなかで日本一詳しい」と豪語する患者、

「行動を観るだけで治るか治らないかがほぼわかる」と自負する患者、

「脱ステの本質を知る」と達観したかのような患者。

その “詳しい” 患者たちの口から、さぞ役に立つ言葉が聞かれるかと思えば、私は一度として聞いたためしがありません。

むしろ、根拠のない情報の羅列や、自分の立場に都合の良い解釈ばかりが聞こえてくるのは、残念なことではあります。

それ以上に注目すべきなのは、三者は共通して、アトピーが治っていない、ということです。

どれだけ知識を集めて、治すための行動がわかっていて、本質を悟ったとしても、アトピーを治せないようなのです。

ですから、殊更にアトピーに詳しくなる必要はなさそうです。また、そうした患者の言うことは話半分に聞いておいた方が良さそうです。

 

ひとつ、これは私の推測ですけれども、きっと正しいと思えることがあります。

それは、アトピーが寛解したり、脱ステロイドに成功したり、ともかく皮膚症状に日常が左右されなくなると、アトピーのことを考えることがなくなる、ということです。

考えることは、アトピーから、仕事や趣味や恋愛などに取って代わります。

そうなると、アトピーのブログを書いたりしないし、Twitterでアトピーについてつぶやいたりしないし、ネット掲示板に書き込むことがなくなります。

なぜそう考えるかといえば、私がそうだったからです。

ステロイド依存時や脱ステ時は、色々とネット情報を調べたり、ネット掲示板を見ていたことがありました。

けれども、脱ステ後に一時寛解してからは、ネットでアトピー関連のサイトを見ることは一切なくなりました。

それからおよそ5年後、このブログを始めたのは、保湿依存症となり、脱保湿のために再び悪化したからです。

 

どれだけ知識を集めて、治すための行動がわかっていて、本質を悟ったとしても、その患者がいつまでもアトピーに関わっているなら、その患者はアトピーを克服できておらず、何かにつけてアトピーのことを考えてしまう患者であることでしょう。

さもなければ、金めあてでアトピー患者に取り入ろうとしているかのどちらかでしょう。

そうした患者たちの言うことよりも、実際に役に立つのは、アトピーについてのブログをやめたり、twitterのアカウントを閉じたり、掲示板を覗き込むことがなくなった人の話ではないでしょうか。

つまり、もう話を聞けない人の話です。

よく患者に「先生、アトピーっていうのは本当に治るんですか? 治った人がいるんなら会わせて下さい」と言われる。

残念だが、彼の要求に答えることは難しい。なぜなら、患者というのは治ってしまうと病院に来ない。

御礼を兼ねて遊びに来たり、入院中知り合った患者を見舞いに来ることはある。しかし、それもせいぜい半年位で次第に足が遠のく。

しばらくは知人友人に自分がどんな辛い思いをしたかを語るかも知れない。しかし、アトピーでない人にとって、その手の話は老人が語る戦争の話や昨日見た夢の話以上の意味を持たない。1)深谷元継, ステロイド依存-ステロイドを止めたいアトピー性皮膚炎患者のために, 柘植書房新社, 1999.

ふたつ、つけ加えます。

ひとつは、ストレス悪化説の人たちがよく言うように、「アトピーのことを考えるから治らない」のではなく、私は「アトピーが治ればアトピーのことを考えなくなる」のだろうと思います。

たとえば、風邪をひいたら、風邪をどう治そうか、医者に行こうか、薬を飲もうか、あれこれ考えるでしょう。けれども、風邪が治ったら風邪のことを考えなくなるのと同じです。

ふたつめは、脱ステは「ステロイドをやめる」という以上の意味をもたないということです。

ステロイドをやめる、ただそれだけです。バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動、そして時間が、脱ステをサポートします。

したがって、脱ステについて考えを深めたり、まして本質を知る必要はありません。というより、本質などありません。

脱ステに対するあり方とか、柔軟な捉え方などの抽象論にとらわれるのは、時間の無駄です。

“アトピーに詳しく” なったとしても、アトピーが良くなれば、その知識は必要がなくなるでしょう。

References   [ + ]

1. 深谷元継, ステロイド依存-ステロイドを止めたいアトピー性皮膚炎患者のために, 柘植書房新社, 1999.

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